ロードバイクのタイヤは消耗品ですが、快適性や走りをグレードアップできるカスタムアイテムでもあります。
ただ初めてタイヤを選ぶときには適合サイズやチューブレス・クリンチャーといった規格を確認するなど迷う点が多いのも事実。
この記事ではスポーツバイク専門店スタッフがおすすめロードバイク用タイヤ15選と選ぶ時の注意点を解説します。
参考にして、ぴったりのタイヤを見つけてみてください。
目次
ロードバイク用タイヤの規格はクリンチャー、チューブラー、チューブレスの3つが主流です。それぞれ構造が全く異なります。
自転車のタイヤの中では最もスタンダードなタイプで、手頃さとメンテナンスの容易さが魅力です。
タイヤの中にチューブ(タイヤの形をした風船)を入れて使用します。
購入した自転車についている初期タイヤはクリンチャータイプが最も多いです。
メリット | 安価に入手可能、パンク修理が容易 |
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デメリット | 転がり抵抗や快適性が低い |
おすすめ | スポーツバイクをこれから始めたい方、出先での修理をなるべく簡単に済ませたい方 |
専用の接着剤でタイヤとホイールを接着して使用します。
最も歴史の古い規格で以前はレース決戦用として使われていましたが、近年では使いやすさや性能からチューブレスが主流となっているためあまり展開されていないのが実情です。
メリット | 高圧から低圧まで様々なセッティングが可能。他に比べて軽量で耐パンク性が高い |
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デメリット | 装着やパンク修理が非常に面倒。選択肢が少ない |
おすすめ | 外周部の重量を少しでも軽くしたい場合 |
名前の通りチューブを入れずに使用するタイプです。「チューブレスタイヤ」と「チューブレスレディタイヤ」の2種類があります。
パンク耐性が高く、走行性能や乗り心地も優れるためハイスペックロードバイクの新たなスタンダードとして君臨しています。
メリット | 転がり抵抗や快適性に優れる。小さなパンクなら修理なしで走行継続できる※ |
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デメリット | 導入コスト、ランニングコストともに高価 |
おすすめ | レースや本格的なスポーツライドを楽しむなど総合性能に優れたタイヤを求めるライダー |
シーラント(液剤)を併用した場合
▼チューブレスタイヤが気になる方はこちらの記事もチェック
ロードバイク用タイヤで展開されている幅は23c、25c、28c、30c以上の4つです。太さにより乗り心地や転がり抵抗などに違いが出ます。特徴をご紹介します。
ロードバイクタイヤの中では特に細く、ひと昔前に流行り現在ではほとんど採用されていない幅です。乗り心地や巡行性能は25C以上のものに比べて劣りますが、細い分重量が軽いのが一番の魅力。物理的な軽さを優先される方や漕ぎだしの軽さを求める方におすすめします。
現在ロードバイクでは主流となっているタイヤサイズで、重量、転がり抵抗、空気抵抗など総合的な面でバランスに優れています。また普及してから年月が経っているため選択肢が多いのもメリットです。迷ったらこちらがおすすめ。
乗り心地がよりマイルドになるため快適性を上げたい場合に適しています。25C以下に比べると若干重くなり漕ぎだしは鈍くなりますが、巡行性能が上がり加速したときの進みが良いのが特徴です。
30C以上はかなり太く、長距離での快適性を重視したエンデュランスロードバイクやオフロードも走れるグラベルロードバイク用向けのタイヤです。
高い衝撃吸収力を生かして激しい悪路に対応したマウンテンバイクのようなブロック(表面のゴツゴツ)を持つ製品も展開されています。
長距離の快適性もしくは悪路の走破性を重視する場合の選択肢としておすすめです。
ロードバイク用タイヤは性能のほかにホイールや車体との相性も重要です。適合しないものは取り付けできません。
失敗しないために見るべきチェックポイントや選び方をご紹介します。
ロードバイク用タイヤの規格(クリンチャー、チューブラー、チューブレス)は、現状に強い不満やこだわりがなければ装着されているタイヤと同じ規格を選びましょう。
現在クリンチャータイヤを使用していて、レースやオフロードなどに挑戦するためにグレードアップしたい場合はチューブレスタイヤがおすすめです。
現在の規格は車体に装着されているタイヤやホイールから判別できます。タイヤまたはホイールの本体やカタログ、モデル名の記載を確認しましょう。不明な場合は店舗スタッフなどに相談するのがおすすめです。
クリンチャーとチューブレスはホイール形状が似通っているため見た目の判断はなかなか難しいです。
ただチューブラーはホイールのリム外周部側にタイヤを引っ掛けるためのヘリ(ビードフック)がないという特殊形状なので見分けることができます。
ロードバイク用タイヤの規格はクリンチャー、チューブラー、チューブレスの3種があり、それぞれ対応するホイールが異なります。基本的には互換性がありません。
アップグレードなどの理由から別規格のタイヤを選ぶこともできますが、その際にはホイールが対応しているかを確認しましょう。
またホイールが車体に取り付け可能かの適合もチェックしてください。
タイヤサイズ(ホイール径)は合わないと取り付けできませんので、使っているタイヤと同じものを選びましょう。タイヤの側面やホイール本体、カタログなどに記載されています。
基本的にロードバイクでは700Cが採用されることが多いです。その場合は「700×25C」など頭に700が表記されていれば適合します。
ロードバイク用タイヤの表記方法はいくつかあるため注意が必要です。
たとえばタイヤサイズが700mmで幅が28mmの場合、「700×28C」や「28-622」と表記されることがあります。
表記が異なってもサイズが同じであれば取付可能です。
詳しいサイズ表記についてはこちらの記事もご確認ください。
現状からどう改善したいかをもとに選ぶとよいです。
現状に不満がない場合は装着しているものと同じ太さを選んでおくと適合チェックが必要なく簡単です。
装着できるタイヤの太さはホイールやフレーム寸法によって決まっています。現在と異なる太さを選ぶ場合は車体側が適合しているかを必ず確認しましょう。
適合はメーカー資料を確認するのが確実です。ない場合はホイールが対応しているか、フレームとの隙間が確保できているかなどを見る必要があります。不安な場合は店舗スタッフに相談してください。
現在装着しているタイヤの太さはタイヤの側面や仕様書などから確認可能です。
ミリ表記では「○○×25C」と後ろに表記され、ETRTO表記では「25-○○」のように頭に表示されます。
ロードバイク用タイヤの値段は幅広く、2,000円台から1万円を超えるものまで様々あります。
規格にもよりますが、価格帯である程度グレードが見分けられますので自分に使い方にあう性能を選ぶ目安にしてみてください。
【5,000円以下】コスパが良いエントリーグレード
【5,000〜9,000円】バランスが良いミドルグレード
【9,000円以上】性能最強!レースに使えるハイエンド
価格が安く、気軽にスポーツバイクに乗り始めたいときや性能よりもランニングコストを重視する際にぴったりです。
内部構造に使われる繊維が荒いため全体的な運動性能は低めですが、耐久性はあるため価格を気にせずガンガン使えます。
街乗りやサイクリングなど軽めのライドで十分に使えるグレードです。
5,000円以上になると転がり抵抗やグリップ力が上がり、スポーツ走行に向くタイヤが多いです。レース用ハイエンドモデルに比べると重量は劣りますが、匹敵するほど高性能なモデルも出ています。
耐久性などロングライフ性能もあわせて考えるとバランスが最も良い選択肢といえるでしょう。
ロングライドやトレーニングなどのスポーツライドのほか、乗り心地もよくしたいなど一段上の走りを楽しみたいという方におすすめです。
9,000円以上ではレースで走るための上位グレードが主なラインナップです。
転がり抵抗やグリップ力だけでなく、軽さやコーナリング時の安定感も優れるなど全体的な性能が高いです。反面、長期間使用できるような耐久性はないものが多く、長くても4000km程度で交換する前提で設計されている製品がほとんどです。
レースや高い性能で力を発揮したい場面での使用に適しています。
基本的に高価なタイヤのほうが転がり抵抗が軽く、快適性に優れ、グリップ力が高く、重量が軽い傾向にあります。
各メーカーがレース向け、高耐久、オフロード向きなど用途にあわせて展開しています。
予算やサイズである程度絞ったら、その用途や機能性から目的に合うモデルを選びましょう。
ロードバイク用タイヤを展開する人気メーカーをご紹介します。
ドイツを代表するタイヤブランドの一つです。レース用の高グリップ・低転がり抵抗のモデルから、ツーリング向け高耐久タイヤまで様々な製品を発表しています。
上位グレードはクラフトマンシップに則ったハンドメイドの製品もラインナップされているのも特徴です。特にレース用フラッグシップ「Grand Prix
5000シリーズ(現行モデルはGP5000S)」は全ロード用タイヤの中でも屈指の性能を誇り、あらゆるブランドのベンチマークとして名高い評価を得ています。
言わずと知れた世界最大のタイヤメーカーですが、自転車用タイヤの世界でも重要な地位を占めるブランドです。それまでチューブラーの独壇場だったレース用タイヤにクリンチャーの潮流を生み出すなど、歴史的にも重要な役割を担ってきました。近年ではチューブレスタイヤの開発にも力を入れています。
国内タイヤメーカーとして非常に有名なブランドです。広範なジャンルのタイヤを製造していますが、特にオンロード用タイヤで高い評価を受けています。グリップ力の高い製品を手掛けており、チューブレスタイヤのしなやかさと合わせ非常に安心感が高く転がりも優れた製品が魅力です。
自動車用タイヤの世界では頂点に位置するブランドで、長いブランクを超えて自転車用タイヤの世界に再参入してきました。
特にグリップ感については定評が高く、コンパウンド(タイヤ表面のゴム)のグリップ力だけでなく、タイヤ全体の形状や変形まで含めてコーナリングで優れた接地感を持ったモデルを製造できる技術があります。
交換時期はタイヤの規格にもよりますが、走行距離おおよそ2000~5000km程度が目安です。
ただわかりにくいこともありますのでタイヤの見た目もチェックしておくとよいでしょう。
タイヤの交換作業は慣れれば自分で行うこともできます。
特にクリンチャータイヤはチューブの取り扱いに気を付ければ比較的簡単に交換できます。
ただチューブレスやチューブラーの場合はそれぞれ専用アイテムやパーツの装着などが必要になるため上級者向けです。初めて行うときはショップなどで施工作業を見せてもらったり講習会を受けたりと具体的な内容を把握してから取り組みましょう。
不安な場合は自転車店に依頼するのがおすすめです。
タイヤの規格によってそれぞれ手順があり、守らないと正しく装着できなかったり部品を傷つけてしまったりと危険です。各タイプごとに取り付け手順の動画が公開されているのでぜひ参考にしてみてください。
店舗で実際の作業手順を見るのも、方法を学ぶのには有効です。
タイヤは自転車と路面の唯一の接点です。走りを変える対費用効果があらゆるパーツの中でも最も大きく、交換することで、まるで別の自転車に乗り換えたようなステップアップも期待できます。
走りを軽くしたい、しっかりとしたグリップ力を得たい、乗り心地をよくしたいなどの希望を叶えて楽しく走りましょう!
ロードバイクやクロスバイクなど、基本的に購入したときに装着されているタイヤはクリンチャータイプが一番多いです