
チューブレスホイールのタイヤ交換の
やり方・コツを解説します
旧来のチューブ入り(クリンチャー)タイヤよりも劇的な進化を果たした性能の「チューブレスタイヤ」。
名称通りインナーチューブを必要とせず、パンクに強く乗り心地が良いことが特徴です。タイヤ交換はポイントを押さえれば誰にでも作業は行えますが、「難しそう」「うまく装着できなかった」といった声を聞くことも。
タイヤ交換をしたいがやり方が分からず摩耗したタイヤで乗り続けている、もしくはホイールを新しくしたいが躊躇しているという事はありませんか?
クリンチャータイヤとは異なる注意点に気を付けて、ポイントを押さえて手順を踏めば心配ご無用!ご自身でもタイヤ交換ができますよ!
チューブレスタイヤについてやホイールとタイヤの相性についてはこちらの記事を参考にしてください。
必要な工具
チューブレスタイヤの交換に必要な工具はこちら。

①ポンプ
フロアポンプでの作業がおススメです。「チューブレス対応」と表記のある、タンク付きのものがあるとさらに作業が楽にできます。

②タイヤレバー
タイヤの取り外し時に使います。装着時にはなるべく使わない方が良いですが、もし使う場合は「チューブレス対応」と表記のあるものを選びましょう。
「チューブレスレディ」の場合

③シーラント
タイヤの内部に膜を張る液体です。「チューブレス」タイプの場合は不要です。

④バルブコアツール
バルブ先端の部品「バルブコア」を着脱するための工具です。シーラントを流し込む際に使用します。
「チューブレス」タイプの場合

③フィッティングローション
シーラントの代わりに「フィッティングローション」があると作業が楽になります。
用語説明

➀リム側面
リムから外周部のように飛び出た、左右に壁のように立っている部分。
➁ビード
タイヤの内周部のヘリがビード。タイヤのビードを、リムのサイドウォールが外側から保持することでタイヤが固定されます。
➂リム中央部
チューブレス用のリムの場合、外周部側(タイヤを装着した時にタイヤ内部に当たる部分)の中央部にはくぼみが設けられています。
➃バルブ
タイヤ内部に空気を蓄え、ポンプから空気を受け取る弁です。クリンチャータイヤの場合はバルブはチューブに取り付けられていますが、チューブレスタイヤの場合はリムに独立したバルブを取り付けます。
➄バルブコア
バルブ先端に取り付けられた可動式の弁が設けられた部品です。チューブレス用のバルブの場合、ほとんどの製品はバルブからバルブコアが外せます。
➅パッキン
バルブ根元のゴムの部分。リムと密着することで空気の漏れを防ぎます。
タイヤの取り外し方
まずはお手持ちのホイールから古くなったタイヤを外す方法を解説します。
ポイントは両サイドのビードを一度リム中央部の凹みに落とすこと。そうすることでタイヤの張りに余裕ができ、作業がしやすくなります。

それでは、具体的に手順を追っていきましょう
1タイヤの空気を抜く
まずはバルブを緩め、中の空気を抜いていきます。
2サイドウォールからビードを外す
タイヤのビードをリムのサイドウォールからはずし、中央部に落とします。

- ポイント
-
- 指の腹を使って落としますが、きついようであれば手のひらの母指球を使って落としましょう。
3タイヤレバーを使ってタイヤを外す
クリンチャータイヤと同じように、タイヤレバーを使ってタイヤを取り外します。

「チューブレスタイヤはタイヤレバーを使ってはいけない」とする情報もありますが、そちらは取付の際の情報です。取り外しの際は、樹脂製など、タイヤを傷つけないタイヤレバーであれば使用可能です。
タイヤの取り付け方
下準備バルブの固定をチェックしよう
チューブレスタイヤでは、バルブはチューブではなくリムに取り付けられています。交換する場合、ホイールメーカー指定のバルブがある場合は指定されているものを使いましょう。
リムの外周側から内周側に向けてバルブを差し込み、パッキンを指で抑えます。内周側のナットを締めて固定します。
- ナットの締めすぎに注意!
-
-
バルブ根元のパッキンは、適切な力で押しあてられることで気密を保つ作りになっています。
無理にナットを締めあげるとパッキンが変形し、気密が損なわれたりパッキンが破損する原因となります。
パッキンをリム外周部側から押さえ、緩みがない程度に止めましょう。
-
バルブ根元のパッキンは、適切な力で押しあてられることで気密を保つ作りになっています。


1タイヤの片側のビードをリムに載せる
それでは実際に、タイヤを装着しましょう。
取り外し時と同様に、ビードを一度リム中央部に収めることで、タイヤの張りに余裕ができて装着しやすくなります。

まずはクリンチャータイヤと同じように、タイヤのビードをリム内周部に載せていきます。
この時、リム中央部のくぼみにタイヤを収めるのがポイントです。

2反対側のビードもリムに載せる
片側のビードが装着出来たら、もう一方もリムに載せていきます。このときも、リム中央部のくぼみにビードを収めることが重要です。

- ポイント
-
-
クリンチャータイヤでは、バルブの差込口側からビードを載せていくのが一般的ですが、チューブレスでは反対側から載せ始め、バルブ差込口側を最後に上げましょう。
チューブレス用のバルブはパッキンに厚みがあります。バルブ側を先に上げてしまうと、パッキンが邪魔をしてビードがリム中央部に収まらなくなってしまいます。
-
クリンチャータイヤでは、バルブの差込口側からビードを載せていくのが一般的ですが、チューブレスでは反対側から載せ始め、バルブ差込口側を最後に上げましょう。
うまく嵌まらない時は…
特に後から上げる側のビードの装着はきつくなり、最後の一か所を上げる作業に力が必要になります。
コツ1
既にはめた反対側のビードがリムのくぼみに入り込んでしまっている場合、そのままでは装着作業がきつくなってしまいます。
載せたビードがリムの真ん中に収まるように、指などで押し込みながら作業すると楽になります。

コツ2
ビードを上げるのに、指でタイヤを押し上げようとしていませんか?
指先で作業をしようとすると、身体全体の力が伝わりづらい上、皮膚が擦れてケガのもとになってしまいます。
手のひらの親指付け根の部分(母指球)を使ってタイヤを押し上げれば、力が使いやすく、またケガも抑えられます。
この時、ホイールの円周に対して横向きに力を加えると力が逃げてしまいます。ホイールの中心から外側に向かって力が加わるように意識しましょう。


空気を入れる前にチェック!
全周のビードが上がったら、ビードがバルブのパッキンに乗り上げていないかチェックしましょう。
乗り上げてしまうと空気の漏れを招きます。


フィッティングローションを塗る(チューブレスの場合)
シーラントを入れなくても使えるのがウリのチューブレスですが、専用の「フィッティングローション」というケミカルを使うことで、装着時や使用時の空気の漏れを抑えられます。
直接塗りつけるタイプやスプレータイプなどがありますが、いずれも空気を入れる前の段階で、リムとタイヤが接触する部分にローションがかかるようにするのがポイントです。

3空気圧でビードを上げる
タイヤに空気を入れ、リムの真ん中に収まっていたビードをサイドウォールに嵌まるよう押し上げます。

空気の注入速度が遅いと、ビードが上がる前に空気が逃げてしまうので、素早く空気を送り込むようにしましょう。
ホイールを寝かせて空気を入れると、ホイールを立てかけるよりもリムとタイヤの隙間が均一になり、隙間から空気が漏れにくくなります。
「パキン!」という音がしたらビードが上がりきった合図です。※
※ホイールとタイヤの相性によっては音がしない場合もあります。
- ポイント
-
一度に空気を大量に入れられる、チューブレス用に設計されたタンク付きのポンプであれば、よりビードを上げやすいです。
-
いまお持ちのポンプに接続できるタンク単品もあります。
4シーラントを注入する(チューブレスレディの場合)
うまくタイヤの装着が完了したら、シーラントを流し込みます。 ほとんどの製品ではバルブコアを外し、そこからシーラントを流し込むようにできています。

➊バルブコアを外す
一度タイヤの空気を抜き、バルブコアをバルブコアツールで外します。

➋シーラントを注入する
- 作業前に確認!
-
- ほとんどのシーラントには、タイヤのキズを塞ぐための粒子が入っています。粒子が均一に含まれるように、装着前にシーラントを振って攪拌しておきましょう。
- タイヤの中からシーラントが逆流するのを防ぐため、バルブがホイールの真下ではなく、45°程度ななめの位置になるようセットしておきます。
- シーラントを入れる量は、タイヤの太さやシーラントのメーカーによって指定されているので確認しておきましょう。一般的には30ccから60ccと指定されている事が多いです。

シーラントのノズルを、コアを外したバルブにあてがい、シーラントをタイヤ内部に流し込みます。
シーラントが入ったら、毛羽立ちの少ない布などでバルブ内部のシーラントをふき取ります。この作業をすることで、バルブの中でシーラントが詰まるトラブルを大きく減らせます。
コアを元通り取り付けます。
➌タイヤ内部にシーラントを馴染ませる
タイヤに再度空気を入れ、ホイールを回したり、振ったりして、シーラントをタイヤ全体に行きわたらせます。
特にリムとタイヤの接触している部分にシーラントが流れ込むように意識しましょう。
シーラントが馴染んでいるか、一晩程度置いて空気圧をチェックしましょう。新品のチューブレスレディタイヤは、走ることによってシーラントが行きわたり、空気の抜けが遅くなります。
- ポイント
-
-
シーラントの交換は装着してから半年〜1年ごとにも追加で行いましょう。
シーラントはタイヤの内部で乾燥していきます。
乾ききってしまうと空気漏れの原因になるほか、パンクの補修性能が損なわれます。「久しぶりに走ったらスローパンクしてしまった」という場合、シーラントの乾燥が原因の可能性も。定期的なメンテナンスでトラブルを防ぎましょう!
-
シーラントの交換は装着してから半年〜1年ごとにも追加で行いましょう。
Q&A
- タイヤが硬くてどうしても嵌りません!便利なツールはありませんか?
-
脱着をやりやすくする、特殊形状のタイヤレバーが発売されています。
このページで説明した取り付け方法と併せることで、より軽い力で作業ができるようになっています。
- お店で交換をお願いしたいのですが…
-
もちろん作業は可能です。お近くの店舗までご相談ください。
一部店舗は予約制となっておりますので、事前にお電話いただくとスムーズです。
- 空気圧はどのくらい入れればいいのでしょうか?
- タイヤとホイール、両方に空気圧の指定があります。
ほとんどの製品はタイヤの太さによって指定範囲が違うので、両方が指定している空気圧の範囲内で使いましょう。
- シーラントは違うメーカーのものを継ぎ足してもいいの?
-
シーラントは製品ごとに成分が異なります。
違う成分が混ざると内部で固まってしまう原因にもなるので、同じシーラントを足すか、違う製品を入れるときはタイヤとリムを清掃しましょう。
- 古いタイヤを外したら、リムの中にシーラントのカスが残っていました。放っておいても大丈夫?
-
そのままにしておくとリムを痛めるほか、新しいタイヤとリムが密着するのを邪魔してしまうので取り除きましょう。
ぬるま湯を使って拭き取れますが、こびりついているときは専用のクリーナーが便利です。
スタッフが選ぶ装着しやすいタイヤbest3
タイヤ性能や価格はさておき、装着のしやすさだけで選んだおすすめのタイヤはこちら