スプロケットは後輪中央にあり、自転車の駆動や変速の要であるギアのひとつです。
この記事ではロードバイクなどのスポーツバイクで使われるスプロケットについて、基礎知識から選び方、おすすめ商品までしっかり解説します。
「スプロケットってなに?」「自分の自転車にあうスプロケットの規格を知りたい」という方はぜひ参考にしてみてください。
目次
スプロケットとは自転車に装着されている前後2組のギアのうち、後ろ側に位置しているギアのことです。
後輪に取り付けてあり、前のギアとはチェーンでつながっています。
ペダルを漕ぐと乗り手の力が前のギアを介してチェーン・スプロケットへと伝わり後輪が回転する仕組みです。
スプロケットは複数のギアがセットになっていて、手元でリアのギアを変速するとチェーンのかかるギアが切り替わり重くなったり軽くなったりします。
このギアの枚数がリア変速段数にあたります。
スプロケットをカスタムすることでペダルを漕いだ時の重さが変化します。
今より上り坂を楽にしたい場合は軽くして負荷を減らしたり、スピードを上げたいなら重くしたりとご自身の用途やお好みにあわせてカスタム可能です。
搭載されているスプロケットの種類を知りたい場合、「カセット」もしくは「スプロケット」などの記載がないか調べてみましょう。多くの場合、型番などと併せて、ギア比や段数などが掲載されています。
【掲載例】カセット(スプロケット):Shimano 105 7100, 11-34, 12 speed
仕様表からわかること
※引用元
歯数とはギアのギザギザ(歯)の数で、単位はTです。仕様表では「11-34T」など、最小ギアの歯数-最大ギアの歯数をつなげて表します。
スプロケットは自転車に搭載されているパーツの規格によって決まります。一つでも規格が合わないものは取り付けできません。
お持ちの自転車の規格をしっかり確認しつつ、自分好みのカスタムができる選び方を解説します。
フリーボディとは、後輪中央にあるスプロケットを取り付けるためのパーツです。
フリーボディにあうスプロケットしか取り付けできませんので形状をチェックし、適合するものをお選びください。
メーカー | フリーボディの形状名 | 対応 |
---|---|---|
SHIMANO | HG |
2タイプ
|
マイクロスプライン | マウンテンバイク12段用 | |
SRAM | XD | マウンテンバイク11〜12段用 |
XDR | ロードバイク12段用 ※XDと互換性なし |
|
カンパニョーロ | UD | ロードバイク8~12段用 |
N3W | グラベルロード13段用 |
品番が記載されていないものも多く、プロの判断が必要となる場合もあります。適合するものがわからないときは、専門店のスタッフにご相談ください。
お持ちの自転車のモデル名、年式をご記入いただくとスタッフがお調べいたします。お気軽にご利用ください。
スプロケットのメーカーはSHIMANO(シマノ)、SRAM(スラム)、campagnolo(カンパニョーロ)の3社が主流です。
基本的にはご自身の自転車についている変速パーツ(コンポーネント)と同じメーカーのスプロケットにしておくことをおすすめします。
異なるメーカーでも互換性があれば取り付けは可能ですが、他メーカーとの組み合わせは純正同士よりも変速性能が低下しますので慎重にお選びください。
コンポーネントがSHIMANOまたはSRAMの場合、ロードバイク用の〜11段、マウンテンバイク用の〜9段までは互換性があるためどちらのスプロケットもお使いいただけます。
Campagnoloは独自規格を採用しているため、他メーカーとの組み合わせはできません。
メーカー | 車種 | 段数 | 互換性 |
---|---|---|---|
SHIMANO (シマノ) |
ロードバイク | 〜11段 | SRAMと互換性あり |
12段〜 | なし | ||
マウンテン バイク |
〜9段 | SRAMと互換性あり | |
10段〜 | なし | ||
SRAM (スラム) |
ロードバイク | 〜11段 | SHIMANOと互換性あり |
12段〜 | なし | ||
マウンテン バイク |
〜9段 | SHIMANOと互換性あり | |
10段〜 | なし | ||
Campagnolo (カンパニョーロ) |
なし |
スプロケットにはグレードがあります。
自転車に搭載されている変速機(コンポーネント)のグレードやご予算に合わせたものをお選びください。
メーカーによってグレード名は異なりますので、各メーカーサイトなどで確認しましょう。
実はスプロケットは上位グレードに交換しても、乗ってわかるような違いはあまりありません。
主な違いは重量は軽さですが、ホイール最内周部にあることと自転車全体の中で低い位置にあるため車体の重心を下げる効果もなく、軽量化の恩恵を受けづらいのが実情です。
車体についているスプロケットの段数と同じものを選びましょう。
スプロケットの段数は今お使いのコンポーネントによって決まり、異なる段数のものを装着することはできません。
スプロケットの枚数を直接数えていただくか、カタログやWEBの資料などに掲載されているスプロケットの型番をご確認ください。
複数あるギアのうち、最小と最大ギアの歯数を見ます。
お使いの後ろ変速機(リアディレイラー)によってどの歯数までのスプロケットが使用可能かが決まっていますので、その範囲内でライディングスタイルやお好みにあうものを選びます。
リアディレイラーの仕様表に記載があります。型番から仕様をご確認ください。
末尾につく記号も目安です。
例:SHIMANOのリアディレイラー/RD-R8000
最小歯数(トップスプロケット) | 最大歯数(ロースプロケット) | |
---|---|---|
SS(ショートゲージ) | 11T〜14T | 25T〜30T |
GS(ロングケージ) | 11T〜12T | 28T〜34T |
SSとGSの違いはこちらもご参考ください
シマノの場合は「SS/GS」ですが、SRAMは「WI-FLI/XPLR」など末尾の記号はメーカーやモデルごとに異なります。型番からメーカーの資料(公式サイト等)をお調べいただくか、専門店スタッフにご相談ください。
適合可否や用途にあわせたスプロケットなどもお選びします。お気軽にご質問ください。
取付可能な範囲がわかったら、最大/最小ギアの歯数を決めます。用途やお好みにあわせて選びましょう。
今の歯数は、スプロケットの印字を確認してください。全体のギアテーブル(例:11-30T)か、印字されている歯の歯数(例:24T)が書かれています。
印字がない場合は、歯の数を直接数えましょう。歯の形状はそれぞれ異なっているので、特徴的な歯を起点に数えるとわかりやすいです。
「ギア比」とはペダルが1回転したときに後輪が何回転するかを表す指標です。
前のギア(クランクについているチェーンリング)の歯数÷スプロケットの歯数で算出できます。
ギア比が大きいとペダルが重く、小さいほど軽くなります。
数値を出して自分好みのギア比を見つけてみましょう。
これまでの歯数と異なるスプロケットを装着する場合、チェーンの調整が必要になるケースがあります。
長さの決め方はこちらの記事も参考にしてください。
また搭載のリアディレイラーが対応していない歯数のスプロケットを使いたいときは、併せてリアディレイラーの交換も必要になる場合があります。
コンポグレード・リア変速段数・
ブランドから探せます
使用環境にもよりますが、スプロケットはおおよそ10,000kmの走行で交換しましょう。
チェーンとスプロケットのどちらかが新品でどちらかが消耗した状態だと、走行中の歯飛び(スプロケットの歯にチェーンが嚙み合わない現象)が起きてしまいます。
チェーンを2回交換するごとに、スプロケットを1回交換するとよいでしょう。
スプロケットはギアとギアの隙間に汚れが溜まりがちなので、デンタルフロスのような要領で隙間に溜まった汚れを取り除くことが重要です。
スプロケットなど細かいパーツを掃除するための専用商品もあります。
スプロケットはロックリングという先端部分にあるリングを着脱して交換します。
詳しい手順は動画をご確認ください。
スプロケット交換にはロックリングを回す工具(スプロケットリムーバー)と、外す際にスプロケットが空転しないようおさえるための工具(ロックリング締め付け工具)が必要です。
工具はスプロケットのメーカーや型番ごとに異なりますので、ご自身のスプロケットと照らし合わせて対応しているものをご用意ください。
スプロケットリムーバーの例
シマノ用ロックリング締め付け工具の例
スプロケットは消耗品でもありますが、カスタムすることでギアの重さを変えられたり変速を滑らかにできたりなど乗り心地を自分好みに調整することができるパーツです。
「登りがつらい」「もっと重くスピードを出したい」という方はぜひカスタムを楽しんでみてください。
SHIMANOは搭載されている自転車が多いため、サードパーティ製で互換性があるスプロケットもあります。
コンポーネントと異なるスプロケットを検討される場合は互換性(変速機や変速レバーなどの型番を確認し適合するか)をしっかり確認しましょう。