
〜お客様の安全・安心・快適な自転車生活のために〜
店舗やオンラインから皆様のお手元に納品される自転車、実は一台一台ワイズロードのスタッフの手によって組み立てされているのをご存じですか。
メーカーの工場から届いた自転車を、そのまま右から左に何もせずお渡ししている訳ではありません。メーカーからは、7割ほど組み立てられた状態で段ボール箱に梱包された、通称「七分組」と呼ばれる形でお店に納品されます。
その七分組を、お客様にご乗車いただける自転車として組み立てる作業を「本組み」と呼びますが、本組みでは単に残りの3割を形にするだけに留まらない、こだわりの仕上げ整備を行っています。
自転車は「形にしただけ」では本来の性能を発揮できません。 例えばサドルの高さひとつ、角度ひとつで快適性、運動効率が変わってしまいます。
ワイズロードでは整備の独自基準として「Y's基準」を掲げ、メーカー工場で組まれてきた7割の部分にも手を入れています。
このひと手間を掛けることでお客様が乗りやすい・操作しやすい、「安全・安心・快適」な状態になり、性能を正しく発揮できるのはもちろん、その性能を長期間維持できるようになります。
こちらの動画で、Y's基準の組み立ての様子をダイジェストでご確認いただけます。ベテランスタッフの無駄のないスムーズな作業をご覧ください。
Y’s基準の組み立て例を一部抜粋してご紹介します。
1台目のお客様には当社独自のバイクサイズ算出サービス、「バイオレーサーライト」で算出した「乗り始めにおすすめのサドル高」でのセッティングを行っています(ロードバイクのみ)。
もちろん、経験者の方からのこれまでのポジションを再現してほしい、というご要望にもお応えしています。
一部店舗では、より本格的なポジション出しをご希望のお客様に向けて、「バイオレーサースタンダード」以上のコースによるバイクフィッティングを行い、ご購入の自転車にそのポジションを落とし込んでいます
メーカーからの納品状態では、左右の角度がまちまちだったり、そもそも快適に自転車を操作できる標準的な設定範囲から外れていることも多いため、人間工学的に扱いやすいニュートラルな位置に設定し直しています。
ワイヤーの取り回しは流れるような曲線を描き、短すぎず、長すぎない、無理・無駄の無い長さに設定しています。取り回しに無理が無く、抵抗を生まないベストな状態で設定します。
外からは見えない下処理にもこだわり、機械式ブレーキのアウターワイヤーでは、ヤスリやグラインダーで端面を平滑に仕上げ、点ではなく面でブレーキ力を受け止められるようにしています。
機械式のシフト、ブレーキのインナーワイヤーには動きを滑らかにし、良好な作動を長期間保てるよう、グリスを塗布しています。
ワイヤーを用いる以上は避けられない、使い始めに発生する「初期伸び」(インナーワイヤー自体の伸びや、アウターワイヤーの圧縮・カップとの馴染みにより起こります)。この初期伸びの影響を極力抑えるため、ブレーキ・変速ともに組み付け時に「初期伸び取り」を行っています。初期伸びが全くなくなる訳ではありませんが、少しでも快適な状態で乗り続けていただけるようにするための重要な下処理です。
油圧式ディスクブレーキでは、油圧システム内からエアを除去するため、メーカーマニュアルに準じた作業を行うと共に、型式によるクセを考慮した手順を追加したり、あえて日を置いてエアをシステム上部に移動させるなどのひと手間を加え、油圧ならではのカッチリとしたタッチで安全にブレーキングができるよう調整しています。
ディスクブレーキ台座の精度が出ていないフレームには、音鳴り対策、制動力向上、操作感向上のため、パッドとブレーキローターが平行になるよう、専用の切削工具を使って台座の面出しを行っています。
リムブレーキでは、ブレーキの効きを左右するブレーキパッドの高さ、角度、パッド面とリム面の当たり具合にこだわっています。同じブレーキを使っていてもリムとパッドが「面」で接触するのと、「点」や「線」で接触するのとでは効きとタッチが全く異なるため、セッティングの差が大きく出るパーツです。メーカー指定や仕様に応じて「トーイン」(ブレーキング時にパッドの前端からリムに接触するセッティング)の調整も行います。
ブレーキレバーの引き代のセッティングは、広すぎない・狭すぎない、操作しやすいニュートラルな位置に設定しています。2台目・3台目でお好みのセッティングがあれば、ご指定のセッティングに調整いたします。
フロントディレーラーなら角度・高さの緻密な設定、リアディレーラーならBテンションの調整、フロント・リアディレーラー共に可動範囲の調整、機械式の場合はワイヤーの初期伸び取り・ワイヤーテンションの調整など、「ただ動く」「何となく変速している」だけではない、メーカーが想定しているベストな性能を引き出すため、ミリ単位のセッティングを行っています。
ワイズロードは全国に複数店舗を出店しているため、過去には技術情報の店舗間の共有に課題がありました。しかし、現在ではグループウェアを活用した技術情報のデータベースを作成し、個人・個店の持っているノウハウや情報をそのスタッフ・店舗だけに留めず、全店に横展開できる仕組みを構築しています。
このデータベースは、パーツ・車体の不具合情報や、メーカーからのリコール情報の共有にも活用しており、お客様の安全に関わる情報をいち早く全店に展開し、万一の事故発生を可能な限り速やかに防ぐために役立てています。
また、新しい技術基準の策定にあたっては、社内技術スタッフ有志による「Y’s TECHフォーラム」のメンバーがアイデアを出し合い、日々お客さまと接し自転車の組み立てを行っている現場の意見を反映させています。