多様な路面をフィールドとするシクロクロスで使われる自転車は、耐久性とトラブル防止の工夫が凝らされています。
そのそのシクロクロスの詳細や魅力、シクロクロスバイクの特徴やおすすめモデルまで、専門店の目線から紹介します。
目次
シクロクロスとは、舗装路や土、芝、砂利、泥など多彩な路面状況を織り交ぜた短距離コースを走る周回レースのことです。
またシクロクロスで使う自転車を「シクロクロスバイク」といいます。
もともとロードレースのオフシーズンのトレーニングとして始まった経緯があり、現在でもロードレースやMTBクロスカントリーと掛け持ちする選手が多いです。
基本的に舗装路のみのロードレースやトラックレース、オフロードのみのMTBにレースとは異なり、短い時間で様々な路面に対する判断力とコントロール能力が特に求められます。
30分から1時間のレース時間中は休みなく高強度でペダルを踏み続けるため、心肺能力も期待できる競技です。
シクロクロス出身者にはサガンやファンデルプールなど、パワーとテクニックを備えた選手が多いことが、その特徴を物語っています。
ロードバイクに似た形をしていますが、シクロクロスバイクは多様な路面を走り抜けるための工夫がなされています。
特に下記4点に特徴が表れています。
レース中にバイクを担ぐ場面があるためカーボンやアルミなど軽量な素材が多く、担ぎやすいようにトップチューブが水平に近い形のフレームを採用しています。
また泥詰まり対策のためにホイール周りは大きなクリアランスがとられているのも特徴です。
UCI(国際自転車競技連合)や関連団体が主催するトップカテゴリーのレースでは、タイヤ(ホイール)サイズは700c、幅33mmまでと競技規則で決められています。
オフロード走行にも耐えられるよう低圧使用に適したチューブレス、チューブラーが用いられることが多いです。
リムは走行中に泥が付着しにくいリム高があるカーボン製が好まれています。
1周回約3kmのレースでは極端な長い登りは存在せずチェーン外れのリスクが高いため、前はシングルギア、後ろはワイドギアを採用しているモデルが多いです。
変速機にはチェーン暴れを防ぐため、バネが強化されたものが使われます。
10年ほど前までカンチブレーキが主流でしたが、現在販売されている新車のほとんどは油圧ディスクブレーキを採用しています。
競技の性質上ブレーキパッドの減りが早いので、機械式ディスクブレーキは不向きです。
トレーニングとして始まった経緯から、現在でもロードレースのオフシーズンである11~2月に行われることが多いです。
新しい楽しみの開拓として、トレーニングの一環として参加できる日本のシクロクロスの大会を紹介します。
おすすめポイント:レインボーブリッヂを望む海浜公園で開催される世界でも稀有な都市型レース。チームエンデューロもあり初心者でも参加しやすいが、砂浜が長く体力を要する。
おすすめポイント:観光牧場で開催され、泥、砂利、芝、舗装やフライオーバー(高架橋)など様々な要素が含まれる良コース。テクニックがある人が有利になりやすい。会場周りのイベントも盛り上がる。
おすすめポイント:草レースとも言われる雰囲気の河川敷開催の小規模大会。コースに過激さが少なく、アットホームな雰囲気とアクセスのしやすいところも人気の理由。
おすすめポイント:芝生と人工的なコブが多く、難易度は低いが比較的スピード重視のコース。
レースに参加する際は、自転車とヘルメット以外にも次のアイテムを用意することをおすすめします。
アイテム | コメント |
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泥や砂が跳ねたり、森を走るコースなら枝に注意する必要があります。怪我防止のために装着しましょう。 |
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比較的ペダルから着脱しやすく、且つ高効率なペダリングを求めるにはオフロード用がおすすめです。 |
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寒い時期のレースに備えつつ、秋口は暖かい日もあるので夏用もあると安心です。試走と本番で着替えられると尚良いです。 |
洗車道具 | 泥々になるのでその場である程度落とせるよう備えておくとをおすすめします。 |
近年、低価格帯のシクロクロスバイクはグラベルロードバイクに吸収されつつあり、上位モデルも北米ブランドではグラベルレーサーと統合されつつあるため、シクロクロス専用モデルは世界的に激減しています。
レースによってはクロスバイクやMTBでも参加できるものもあり代替はできますが、シクロクロスバイクならではの走り心地を味わってみたい人はぜひ検討してみてください。
ブランド | NESTO ( ネスト ) |
フレーム | 軽量アルミフレーム |
ブレーキ | 油圧式ディスクブレーキ |
変速段数 | 1 × 11 段 |
ブランド | BIANCHI ( ビアンキ ) |
フレーム | フルカーボンモノコックフレーム |
ブレーキ | 油圧式ディスクブレーキ |
変速段数 | 1 × 11 段 |
ブランド | CANNONDALE ( キャノンデール ) |
フレーム | カーボンフレーム |
ブレーキ | 油圧式ディスクブレーキ |
変速段数 | 1 × 11 段 |
汚れたり苦しかったりする過酷な競技ですが、ほとぼりが冷めると何故かまたやりたくなるところがシクロクロスの魅力です。
初心者向けのレースではクロスバイクやマウンテンバイクでも走ることができ、知らない人からもたくさんも応援してもらえるような、参加のハードルは決して高くない場所です。
観戦競技としても面白いので、まずは近場の大会を見に行くことからぜひ始めてみてください!
以前シクロクロスに参加しましたが、30分~1時間という競技時間のなかで刻々と変化する路面状況に対応しつつ、ひたすら全力でこぎ続けなければならないというハードな競技です。
体力面で非常につらいものの、病みつきになる中毒性があります。全国共通の実力別カテゴリー制なので同じ顔触れと競い合うため、仲間・ライバルが作りやすいのもシクロクロスの美点です。
新橋店スタッフ 間野